定年退職後のFT8導入記(備忘録)

2024年3月25日



FT8運用中のPC画面です

はじめに

先日、ようやくFT8のスタートを切ることが出来ました。それまでの経緯はこちらのブログ記事でどうぞ。

さて、この固定記事では、復帰組で右も左もわからぬ私がどのようにFT8にチャレンジしたのか、その記録をメモとして残しておきます。備忘録のようなものです。

これから、同じようにFT8を始めようとされる方の参考になればと記しています。ただ、思い込みや間違いもあると思いますので、皆さんも実際に確認された上で、参考にしてください。

新しい事へのチャレンジはゆっくりと楽しもう!

FT8導入にあたって、一つ自分自身で決めた事があります。

それは、「あせらない」ということ。

若い頃には猪突猛進、興味のあることには集中して一気に進んで行くという性格でした。

会社を定年退職し、自営業となった直後は、仕事と私生活の区別ができなくなり、気がつけば休みもなく仕事をし続けるという毎日。

今年になって、「これではイカン!」とペースダウン。

今は、自分に出来ることを少しずつ……、というのを仕事でも心がけています。

趣味もそれでいいよね!というわけです。

そこでFT8を導入するにあたって、

「1日に1つ新しいことを覚えればいいじゃない!」

という方針で行くことにしました。

全くの初心者としてFT8を始めるにはあまりにも覚えなければいけないことが多すぎるということもありました。(^^;)

導入すべき事柄の一覧をまず作る

さて、では具体的な話になります。

昨今、様々な局長さんのWEBページで導入の記録を読むことが出来ますし、雑誌でも素晴らしい記事があります。本当は1冊、書籍が出てれば良いところですが、FT8の世界は日進月歩なので、書籍という形ではフォローが難しいのでしょう。雑誌での特集や付録はありますが、単独の書籍では見当たらないのが現状です。

それでも、こうした情報のおかげで何が必要なのか、自分なりに整理することができました。そして、あらかじめ何をすべきなのかの道筋をつけておけば楽なのではないかと感じました。

そこで、ここでは私の開始する際に決めた道筋、つまり、準備すべきことがらの一覧をご紹介しますね。参考になったWEBや雑誌記事を記しますが、いずれも2023年4月現在のものです。今後のリンク切れなどはご容赦ください。

リグはアイコムのIC-705、アンテナは当初はコメットの車載用ホイップアンテナHA-750BLをベランダに設置していました。PCはWindows10のデスクトップ。またログはPCにTurbo HamlogとeQSLを導入済みです。

自分にとっての必要と思われるプロセスは以下の通り。

1.IC-705用のUSBドライバーのインストール

2.時刻校正ソフト(BktTimeSync)のインストール

3.WJST-Xのインストール~メインの操作ソフトになります

4.JTAlertのインストール~WJST-Xの使用を助けてくれるソフトです

5.JTLinkerのインストール~Hamlogなどとの連動をするためのソフトです

6.PSK Reporterの活用~自分の電波がどの程度の強さで、そして何処まで届いているのかがわかるサイトです

7.LoTWへの申請とログのアップロード

これを1日に1つ、調子がよければ2つ、逆に大変なら何日かにわけて導入をしていくということになったわけです。

では、実際に、それぞれ何を参考に、どう導入したかをまとめますね。

IC-705用のUSBドライバーのインストール

USBドライバーはPCとリグをつなぐために必要なものです。インストールはPCをお使いの方であれば、特に問題も無くできるのではないかと思います。

以下のサイトからダウンロードして、インストールします。
https://www.icom.co.jp/support/drivers/5074/

マニュアルはこちら
https://www.icom.co.jp/api/download.php?post_id=6089&fl=/uploads/support/manual/download/IC-705_USB_driver_JPN_Inst_USB3_2.pdf

ただ、こうしたドライバーのインストールで「あるある」なトラブルとしてはドライバーをインストールする前にUSBケーブルでリグとPCをつないじゃった!というのがあります。マニュアルにもありますが、これはできるだけ避けた方が良いです。

マニュアル通り、インストール後にデバイスマネージャーで確認をしてみると、無事に認識されていることが判りました。

そうそう、私の場合、ファームウェアが古かったので、このインストール前に、IC-705のファームウェアも一緒にアップデートしておきました。
https://www.icom.co.jp/support/drivers/7074/?setBusiness=2

トータルで2日にわけての作業でした。

時刻校正ソフトのインストールでトラブルが

実はここで一つ躓きがありましたので書いておきますね。

PCの時計というのは実は不正確だったりします。実際私のPCの時計も、手持ちの電波時計と比較すると、数秒ずれて表示されていました。

FT8の交信は正確に15秒ごとのメッセージのやりとりで成り立っていますので、この不正確さが命取りとなってしまうのです。

そこで、PCの時刻校正のためのソフトを導入しなければなりません。私の場合、以前のPCでも導入していたことから当初「桜時計」をインストールしたのですが、これが私のPCとの相性が悪かったみたいで、時刻が校正されるどころか、逆に、インストール当初は45秒ほど進んで表示されるようになってしまったのです。

最初の頃、原因がわからずに四苦八苦しましたが、「桜時計」をアンインストールし、代わりに多くの局長さんが導入していらっしゃる「BktTimeSync」をインストールしたところ、正確な時間が表示されるようになりました。

なお、「BktTimeSync」はダウンロード時、ブラウザーの「Edge」では安全なサイトとみなされないのか、「crdownload」という拡張子のファイルになってしまい、インストールできませんでした。そこで「Chrome」を使ってみると無事にダウンロードできました。また、最初の立ち上げ時にセットアップ画面が出ない場合、ウィンドウズ右下の隠されたインジケーターをクリック。現れた「BktTimeSync」のアイコンを右クリックし、「Open」を選んで表示させる必要があります。

桜時計、当時は便利で重宝させていてただいた素晴らしいソフトですが、今となってはかなり古いプログラムですし、注意が必要かもしれません。先達のOMさんたちのサイトの中にはFT8の導入のために「桜時計」を勧めていらっしゃる方も見受けられます。おそらくそれぞれの環境では大丈夫だったのでしょう。でも、私の場合はNGでした。この点、一つ、ご参考までにとお知らせします。

JA7JOEさんのブログがとても参考になりました。
https://ja4joe.livedoor.blog/archives/17219958.html#:~:text=%E5%BF%B5%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81Windows%E3%82%92,%E6%A0%A1%E6%AD%A3%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%8F%E3%82%8C%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

この問題解決は1日以上かかりました。

WJST-Xのインストール

いよいよメインのプログラムを導入します。FT8などのデータ通信のためのソフトェアです。無料で使えるのですから、開発者であるK1JT、Joe Taylor氏に感謝です。

対抗馬としてJTDXというのもあり、そちらも人気がありますし、デコードの能力が上だという評価もあります。が、とりあえず、私の場合はWJST-Xで始めることにしました。(WJST-XとJTDXを同じPCで両方利用することもできます。その場合のログ管理も一元化できるようにできますし、その説明をしていらっしゃるOMさんのサイトも複数あります)

以下のサイトがとっても参考になりました。ありがとうございます!

・JJ1UUZさんのページ~インストール方法について手取り足取りの解説でわかりやすいです。
 http://www.ac.cyberhome.ne.jp/~hamradio/wsjtx.html

・SWOFF.COMさんのサイト~設定方法についてかなり詳しく書かれています。
 https://www.swoff.com/?p=12713

・JH8XVHさんのサイトも大いに参考になります。
 http://www.hdlc.jp/~jh8xvh/jp/radio/wsjt/wsjt.html

・JA4JOEさんのサイトもわかりやすく参考になりました。
 https://ja4joe.livedoor.blog/archives/18336065.html

・実際の運用についてはCQ ham radioの2023年2月号、56ページの「FT8」交信ガイドがよくわかります。

諸先輩方のサイト、ブログや雑誌の記事のおかげで、1日で無事に終了しました。

JTAlertのインストール

これ、実は最初の段階で躓きました!プロバイダーのサービスとしてPCに導入しているセキュリティソフトが、なぜか、JTAlert本体ともう一つ必要なソフトである HamApps Databaseを危険なソフトと認識して、ダウンロードが出来ないのです。実際には危険なソフトではありません。でも、その解除をするのに、四苦八苦してしまい、数日後回しになっていました。色々と調べ、セキュリティソフトの設定を変えることで、ようやくそちらも解除ができて、インストールが無事に終わります。

こちらはCQ ham radioの2023年4月号でJR1AQN~前田正明さんが書かれた記事と、もう一つ、前述のJA1UUZさんの書かれた記事を参考にしました。
http://www.ac.cyberhome.ne.jp/~hamradio/jtalert.html

少し前にモニターを買い替えて4K対応の大型にしておいたことが大きく役に立ちます。WJST-XやJTAlert、ハムログなど様々なソフトを同時に立ち上げるのがFT8では便利なスタイル。そうした場合、高解像度の大型ディスプレイは圧倒的に有利です。4K対応の高解像度にしておいて本当に良かったと実感です。

また、設定では WSJT-Xのログを取り込ませることで、B4(Before~つまり過去に交信済みの意味)を表示させることができるようになりました。さらに、こちらも最初の設定で、このJTAlertをクリックして立ち上げれば、自動的にWSJT-Xやハムログなど他のアプリも同時に立ち上がるようにしたのはとても便利でした。終了時も一斉終了させられます。

便利すぎて、一度使い始めると、もうJTAlertなしでの運用は出来なくなるくらいです!

一つだけ自分の失敗からアドバイスを。WSJT-Xのログを利用すれば良いので、JTAlertの初期設定段階では独自のログ設定をおこないませんでした。ところが1年近くたってみて、ふとJTAlertの「Wanted Prefix Alert」を利用しようとしたところ、なんと独自ログを設定していなければ利用出来ないことがわかり、残念な思いをしました。詳しくはこちらこちらの記事をご覧下さい。ログの分散という安全管理対策にもなりますので、JTAlertでもログ設定は行っておいたほうが良いと思います。ちなみにDXCCやWASのAlertは独自ログ設定をしなくても大丈夫でした。

JTLinkerのインストール

ハムログと連動させるためのソフトです。JA2GRC~TAKAさんのサイトからダウンロードできます。
 http://ja2grc.clear-net.jp/~ja2grc/my_software/my_software.htm#JT_Linker

実は、なんとこちらも最初に躓きました。

というのも、インストールまではうまくいったように見えたのですが、その後、立ち上げようとすると、必ず途中でフリーズしてしまい、立ち上がらないのです。原因をさぐろうと四苦八苦したのですが、結局判らず。

私の場合、唯一の解決方法は、最新バージョン(Ver.2022.06.20b)ではなく、古いバージョン(Ver.2018.04.10)にしてみることでした。こちらで無事に動作しました!古いバージョンは上記のページからダウンロードできます。

この段階で、「初」海外を狙い、CQを出している海外局に呼びかけたのですが完敗。やっぱり今のアンテナではダメなのだろうなぁと思います。一体、自分の電波、どこまで届いているのだろう?

そこで、実際に自分の電波がどこまで届いているのか、それが判るサイトがあるんです。それを利用するというのが次の項目です!

PSK Reporterの活用

アプリやソフトでななく、サイトですが、これを知ったときには本当に驚きました。こんな時代になったのか!と。

だって、自分が出した電波がどこまで届き、そしてどんな強さだったかと言うことが、ほぼ即座にわかるのですから。しかも、それが世界地図に表示。これは計り知れない「恩恵」です。

こちらがURL
https://pskreporter.info/pskmap.html

そして、使い方はこちらの動画がよくわかります。印旛沼無線クラブチャンネルさんです。
https://www.youtube.com/watch?v=wbyR8dQgx1w

私の場合、5~10W出力で、しかもモービルホイップをベランダに取り付けているというアパマンハム、まさに「弱小」施設なので、電波が本当に届くのか、そもそも疑っている状態です。

しかし、このPSK Reporterを見てみると、一応、国内、北は北海道から南は福岡まで届いていることがわかりました。これは大きな収穫です。そして、実際、その後、7MHzで1~2時間の運用で10のエリアすべてとコンタクトできまてしまいました。

そして、次の課題は海外局です。

何度か試してみて、PSK Reporterを見てると、やはり結論として、海外には殆ど届いていないということが判りました。聞こえるのですが、こちらからは飛ばない。これはSSBでの感覚とほぼ一致します。こうなるとアンテナの改善が必須です。

というわけで、この結果からアンテナを十数年ぶりに買い替えることにしました。このあたりの事情は後日詳しく書きますが(こちらの記事です)、結果としてコメットのUHV-10を購入。集合住宅ですから、ホイップが限界です。

その結果、再びPSK Reporterを覗いてみると、5~10Wの出力でも、しっかりと電波が世界中に届いていることがわかりました。嬉しかったですねぇ!

本当に便利なサイトです。

LoTWへの申請

ARRLのログシステムですが、こちらは、DXCCなどにチャレンジする場合には強い武器になりそうです。

というか、絶対に登録すべきです。というのも、一旦利用されるとわかるのですが、LoTW登録局はQSO後の処理がお互いに楽になるので、どうしても登録局を相手に選びたくなってしまうんです。そう、他局を取りやすく、取ってもらいやすい。

本当に便利なシステムなのでJARLもぜひ独自アワードなどでLoTWを認めてくれれば良いのに……と思うくらいです。

というわけで、さっそく申請しておきます。このあたりについては、「Ham world」2019年8月号でJP3AYQ~眞田真由美さんの書かれた記事が大いに参考になりました。なお、「HAM world」誌ですが、過去(1年以上前)のバックナンバーがKindle Unlimitedでは無料で読むことが出来ます。これは本当にありがたいことです。

おしまいに

と、ここまでが2023年4月にFT8を始めた時、導入までの自分自身のメモからの抜粋とその後に書き加えた内容です。

これから始めようとする方々の参考になれば良いのですが。

ちなみに、前述のアンテナを変えたその日、アメリカの局とQSO。そして、それから怒濤のように海外局とQSOしてDXCCのエンティティーを重ねます。その後、ついに3週間(21日目)で50番目のエンティティーとQSO。ここから先が大変なのだとは思いますが。それでも、過去の自分の実績から見ればビックリで、まさに夢のようです。(追記:始めて1年経たずにQSOは154エンティティー、QSLが134まで来ています)

サイクル25のコンディションの良さもあるのでしょうが、FT8の威力を実感しました。

この記事、また何か進展がありましたら、加筆していきます。

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Posted by JA1AIM