侮ってはいけなかった、そして意外と楽しめた「5.5 Festival」
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5.5 Festivalと出会う
その日、FT8で各バンドのチェックをしていところ妙なことに気付きます。
「今日は中国の局が凄く多いなぁ……」
それだけではありません。しばらくして「B*CRA」というコールサインの局が各バンドに必ず複数で出ているのです。「*」の部分は数字。
気になってQRZ.comをチェックするとすぐにわかりました。これ、アワードを伴う年に1度の大規模イベントだったんですね。
QRZ.comでの説明ページはこちら。
https://www.qrz.com/db/B2CRA
ルール
正式には「Chinese 5.5 Ham Festival」と言うようで、中国の「中国無線電協会アマチュア無線電分会」(我が調布アマチュア無線クラブと同じ略語のCRAC)が主催するものです。ルールはとても簡単。5月3日00:00UTCから5月5日12:00UTCまでの3日間に「B1CRA」から「B0CRA」まで10のコールサインで運用する特別局とQSOするというものです。さらに、同一局でも異なるモードや周波数で運用すれば、QSO数でもある「Slot」と呼ぶポイントが増える仕組みです。
そして、その数に応じてもらえる賞が異なります。
「Bronze(銅賞)」は5 Slotで3つの異なる特別局とQSOすること。
「Silver(銀賞)」は10 Slotで6つの異なる特別局とQSOすること。
「Golded(金賞)」は20 Slotで10つ(全部)の異なる特別局とQSOすること。
以上です。シンプルですよね。
簡単かも……と侮ってはいけなかった!
サイクル25もあり、モードがFT8だけなら簡単じゃないか!と当初思ってしまった私。実は、その後、泥沼を見ることになったのですが……。(^^;)
とにかくすぐに終わらせようと軽い気持ちでスタートしてしまいました。それが5月3日07:00(UTC)過ぎ、日本時間で16:00過ぎのこと。以下、日本時間で記します。
最初に取れたのは「B2CRA」局。強力に入感しており(+06、-14)、開始の数分後、16:13にはあっけなく取ってもらえます。さらに2分後には「B4CRA」局と5分後には「B5CRA」。どちらも17mbです。そこで特別局はとりあえず他に見当たらなかったので12mbに。そちらで再び「B4CRA」局、20mbに移動して「B6CRA」、「B9CRA」と交信。30分ほどで半分の5局と交信。ただ「 B9」は73が来なかったので不成立の可能性が。念のため再度チャレンジしようと思います。スロット数もここまでですでに7つ。
うん、この調子だと、まぁ、数時間で完了。今晩中には「Golden」が取れるかも……と、甘い考えがよぎります。
と、この辺から足踏みを始めます。その後、30mbに移ったりしてスロット数は増えるのですが、肝心の新たな特別局はなかなか見えてきません。
2時間後、ようやく「B8CRA」を20mbで見つけてQSO成立。
その後、再び足踏み。このあたりから、「もしかして、これは大変かも」と思い始める私。
なぜ取ってもらえない?
開始から6時間以上経った21:54に20mbで「B7CRA」を発見して取ってもらえます。
不思議なのですが、他の局、「B1CRA」「B3CRA」「B9CRA」「B0CRA」とは何度か遭遇しているのですが、取ってもらえません。つまり、すべてこちらからは見えてはいるんです。しかもシグナルは結構強い。
でも、なかなか取ってもらえない。もちろん、軽いパイルのような状態になっていることはあるのですが、「B0CRA」と「B1CRA」に関しては先方がCQを何度も出して、そこにコールするのですがダメ。もしかして何か呼び出しのルールがあるのかな……と、公式ページを見直すのですが、特に見当たりません。
一度「B0CRA」を1時間近く呼んでみたのですが、結局取れず。うーむ。なぜだろう?
それにしてもおそるべし。数時間で終わるとたかをくくっていた「5.5 Festival」、意外と大変だと気付きました。一方で、なかなか埋まらないマスを少しずつ埋めていくのがゲーム感覚で楽しくもなって来ています。これはハマりますねぇ。
Ham Alertを活用
そのまま1局も新たな記念局がとれないまま日付けが変わるのか……と、焦り始めます。しかも、狙う局がどのバンドに現れるかわからない。これはマズいとアプリの「Ham Alert」を起動。こちら、利用されている方も多いと思いますが、コールサインなどを入力することで、そのコールサイン局が運用されていて、それがPSK Reporterなどにあげられれば知らせてくれるという便利なアプリです。
するとひっきりなしにアラートが鳴ります。そう、結構出ているんですね!しかも一つのコールサインでも運用者が複数いて運用場所も複数あるようで、同時にいくつかのバンドや場所(異なるグリッド)から出ています。
そして、このアプリのおかげもあり、ようやく「B7CRA」を20mbで。そして「B3CRA」を15mbで取ります。
そろそろ眠くなり、その後は明日に夢と希望を託して就寝。結局収穫としてはSlotは18、特別局は8局となりました。残りは「B1CRA」と「B0CRA」の2局。73が返ってこなかった「B9CRA」も。明日にすべてをかけます。
2日目の闘い
この日はGWにもかかわらず仕事がちょっとだけあるため、朝の1時間と午後3時くらいからが運用できる時間となります。
朝8時、ちらっと覗いてみますが、多くがすでに同じバンド同じモードでQSOした局のみ。結局1局分のみ新たにSlotを稼ぎます。これで19。あと1つでSlotに関してはGolden完成。
その後、仕事。
さぁ、いよいよ夕方。
15時、バンドを覗くと昨日取れなかった「B1CRA」が。これがまたとってもらえないのですが、1時間ほど粘り、やっと73が!さらに「B9CRA」も。これでSlotは20を越えました!
Ham Alertに登録したコールサインを消します。あと「B0CRA」が取れればSlotではすでに到達したGolden完成。残りは「B0CRA」のみ。その直後、待望のその局のアラートがHam Alertで出てきます。
すぐにバンドを覗いてみるといました。CQが出て、さっそくコールするのですが……。
取ってもらえません。
そして、そこから何度呼べどもダメ。再び足踏み。
我が史上最長の呼び続け
夕食を挟んで「B0CRA」を延々呼び続けるのですが……。CQも何度も出してくれるのですが。
無線を始めてうん十年。ここまで長時間にわたり連続して特定の局を呼び続けたことはありません。
バンドも途中で変わります。
グリッドを見ると2箇所から運用しているようです。いずれも中国の内陸部。
念のため、PSKReporterで自分の電波の到達具合を見てみると、中国は沿岸部には良く届いています。が、内陸部はおしなべてダメ。特に40mbは壊滅的とも言える状況。他のハイバンドも同じ傾向がありますが、そちらはその先、ヨーロッパには良く届いています。受信スポットが少ないということもありますが、それ以上に我が家のアンテナの打ち上げ角などの問題で中国内陸部には届きにくくなっているではないかと想像できます。それが証拠に、見ていると他のJA局は楽々QSOできているのです!
ああ、なんと!大きな課題を突きつけられました。
すでに5時間呼び続けています。
意外な副産物とも言える収穫も
こりゃ、明日にかけるしかないかな……。
ただ、この頃、サイクル25のおかげで、他の興味深い局も沢山出てきています。17mbは北米が沢山!あ、こりゃ17mbでのWASの稼ぎ時かも!と、「B0CRA」を呼び続けながらも「WAS」の局数稼ぎも……。さらにDXCCで初エンティティーとなる「Greenland」もゲット!
嬉しい副産物が沢山ありました。(^^)
ようやくつかまえた!
でも、肝心の「B0CRA」、ついに呼び始めて6時間が経過。消えてはHam Alertのおかげで出没バンドを探し、CQに呼びかけるも反応なし。
それを繰り返し、日付けが変わり、いよいよあきらめることにしようとした00:24。突然、20mbでJTAlertの画面に赤いアラートが。そしてアラート音が鳴り響きます。
え?
と、一瞬目を疑いますが確かに「B0CRA」局です。こちらからの送信、途切れないように!と注視。
やがて「73」が!
ついに!
シグナルリポートは「-15」をもらいます。こちらからは「-02」。
QSO成立。
というわけで、全身から力が抜けていきました。そして、全身が喜びに包まれます。
当初は「チョロい!」と思っていた「5.5 Ham Festival」、実はかなり大変な思いをして2日がかりでのGolden達成となりました。
シンプルなルールながら、実はとても奥深い遊び方ができるのだと知ります。
我が国にもお正月の「QSO Party」があり大いに楽しめますが、こうした「一ひねり」を上級編として加えると、さらに面白くなるのではないかな……と思った体験でした。
ああ、これで良い夢を見ることが出来そうです。
そうそう、公式ページのログは反映が遅いです。交信して半日~1日くらいはかかることがあるようで、まだ、当局も2局分のQSOが反映されていません。この後、無事に反映されますように!
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